エレンはなにを達成したのか? 進撃の巨人 最終巻 感想と考察

2021年06月15日

進撃の巨人の最終巻よみました〜〜(号泣) 悲しくも清々しいお話でしたね・・・。 感想と考察を書いていこうと思います。

※この記事には進撃の巨人の最終巻(34巻)のネタバレ・内容バレが含まれるのでご注意ください。

巨人の力の意味

巨人の力は光るムカデのような姿の生物が人類に共生したときにもたらされるものです。 民族に寄生する寄生虫と言ってしまってよいでしょう。 光るムカデは生存のために寄生先の民族を強化すると考えられ、寄生された民族は次のような能力を獲得します。

  • 産業革命までは戦争で無双できる白兵戦闘力
  • 本体(始祖の巨人)の意向に民族全体が従い、記憶や身体まで改竄を受ける強固な独裁体制

近世の巨人大戦をへて145代フリッツ王(カール・フリッツ)がパラディ島の壁の中に引きこもったあたりからエルディア人は人類の共通の敵という認識でしたが、そこから世界が産業革命を迎えて巨人の力に対抗しうる兵器が開発されたことにより、いよいよエルディア人が絶滅の危機に瀕するというのが本作の時代背景です。

この物語において巨人の力がどのようなものかザックリいうと、「ヘイトを集めやすいわりに産業革命以降はさほど強くない兵器および政治体制」って感じになります。

これを「エルディア人固有の民族性」だと考える視点もありそうですけど、一方で「寄生虫によってもたらされる病気」だとみなすこともでき、そのあたりはちょっと微妙なとこです。

エレンはなにを達成したのか

エルディア人にとって邪魔になりつつある巨人の力にどう対処するか、作中ではいくつか計画が存在しました。

まず145代フリッツ王の不戦の契り。 これはエルディア人がいずれ他国に殲滅される運命を受け入れ、これにより巨人の力を消滅させようというものです。

次にジークのエルディア人安楽死計画。 これは始祖の巨人の力を使ってエルディア人全員を不妊体質に変化させ、一代で絶滅することにより巨人の力を消滅させようというもの。 方向性としてはフリッツ王の考えと同じです。

そしてエレン、およびイェーガー派の地鳴らし。 パラディ島の壁の中に眠る膨大な数の大型巨人を解き放ち、パラディ島以外の地球全土を壊滅させるというプランです。 たしかにエルディア人以外が絶滅すればエルディア人の巨人の力にヘイトを向けてくる外敵はいなくなります。 ただ地鳴らしのあとは森林すら残らないという話で、地球環境的に大丈夫なのか…。

地鳴らしにはエレンの親しい仲間たちの反対があり、実際にエレンが採用したのは次のような計画でした。

  • 地鳴らしを止める功績をエルディア人に行わせ、人類全体の恩人とすることで、国際社会におけるエルディア人の地位を回復させる
  • 始祖の巨人であるエレンが始祖の巨人を継承せず死亡することにより、エルディア人と光るムカデの共生関係を終了させ、巨人の力を放棄する
  • 地鳴らしの過程で他国の戦艦や飛行船といった兵器を破壊し、壁外人類の人口を8割減らすことにより、他国がパラディ島を攻撃する余裕を失わせる

作中では、始祖ユミルに初代フリッツ王への従属をやめる決心をさせることが巨人の力を消滅させる条件だと読める描写もあるんですけど、あのあたりよく分からなかったです。 単純に始祖の巨人が継承されずに死亡すれば巨人の力が消滅するけど、国際関係のためそのような急激な軍縮が不可能だったっていうので説明する方が話の流れとしてスッキリする気がします。

エレンの死後も、全土の地鳴らしに肯定的だったイェーガー派がパラディ島の実権を握り、巨人の力に代わり近代兵器による軍備拡張が行われ、100年ほどの歳月ののち空爆によってパラディ島が瓦礫の荒野になるところまで最終話では描写されています。

エレンの行動によっても国家としてのエルディアの運命を大きく変えることはできず、エルディアはやはり滅亡してしまうというのが本作の結末でしょう。

一見すると虚しい結末ですが、「本作でエレンが達成することができた唯一のことは、エルディアが他者と対話するための時間を100年稼ぐこと」であり、ここに作品の一番重要なメッセージが込められているように思います。

光るムカデはどうなった?

始祖の巨人に寄生していた光るムカデの個体がどうなったか明確な描写がないですが、まぁ始祖の巨人と一緒に死んだのだろうと予想できます。

気になるのが、エレンのお墓に生えている木の形です。 エレンが埋葬された後からこの木はぐんぐん生長を始め、一番最後のシーンでは洞のある巨木となっています。 始祖ユミルは巨木の洞に落ちて光るムカデと遭遇し巨人になりましたが(30巻)、その巨木と同じ形をしています。

つまりエレンが埋葬された場所に新しく光るムカデが発生していることが暗示されています。

巨人の力がわりと諸悪の根源なわけですけど、巨人の力自体も(光るムカデが)懸命に生物としての本分を果たそうとした結果生じるものなので、滅ぼすべき悪とは言えない…みたいなメッセージがこの最後のコマに込められてるような感じがしますね。

またエレンたちの足掻きを光るムカデが記憶し続けてくれているようで嬉しくもありました。

なんとも爽やかなラストだな〜と胸を打たれました。

始祖ユミルがエレンに協力した理由

30巻の時点で、ジークの「エルディア人安楽死計画」とエレンの「地鳴らし計画」のどちらが選ばれてもおかしくはなかったんですが、始祖ユミルはフリッツ王に従属していて、ジークがフリッツ王の血筋なので、普通ならジークの計画のほうが採用されるはずでした。

それでも始祖ユミルがエレンの計画に協力したのは、エレンの計画がミカサによって阻止される運命にあったから、という事情によるもののようです。

始祖ユミルは初代フリッツ王を愛していましたが、初代フリッツ王は妻に槍が刺さっても心配してくれないし、なんなら妻の肉を娘たちに食べさせるようなモラハラ亭主関白であり、この男に対して一度もノーを突きつけることなく従い続けたことをずっと悔やんでたっぽいですね。

ここにきて、ミカサがボーイフレンドにノーを突きつけて殺害までしておきながら、二人の愛が継続するところを、始祖ユミルは見たくてしょうがなかったわけです。

ミカサの頭痛は、ミカサがエレンに対して否定的な考えを持ったときに、ミカサを観察していた始祖ユミルが感じていた頭痛が、道を通じてミカサに伝わっていたものです。

ミカサがエレンの地鳴らしを止めないのであれば、それは始祖ユミルにとってなんの救いにもならないため、「全土の地鳴らし」が採用されることは無かったはずで、地鳴らしがミカサによって止められるという運命は30巻の時点で決まっていました。

エレンの遺言はいつ伝えた?

エレンは親しい仲間に次の方法で遺言を伝えています。

  • 始祖の力で心象風景を共有する
  • 始祖の力でその記憶を封印する
  • 自分が死ぬと始祖の力が消滅するので、記憶を思い出す

この遺言をいつ伝えているかというと、33巻のアルミンたちが飛行艇の整備のため輸送船で移動しているタイミングで行っています。

アルミンからすれば、これから自分たちが止めに行こうとしているエレンが突然親しげに心象風景として現れてビックリしたことだと思いますが、これがエレンからの遺言であり最後の会話であることを把握して話している様子があって、なんともエモいですね…。

最終巻は読み終わるまでに5回くらい泣きました。


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